vol. 412

2017.11.24

橋本マナミが“無難な世の中”に物申す「本音が言えないなんてつまらない」――女性が風通し良く現代社会を生きる術

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気づけばいつも周りの反応ばかり気にしてる。叩かれないように、出しゃばらないように。空気を読むことばかり意識していたら、何だかますます息苦しい――。そんな閉塞感たっぷりの現代に生きづらさを抱えてはいないだろうか。

女優・橋本マナミさんが映画『光』で演じた主婦・黒川南海子(くろかわ・なみこ)も、そんな出口の見えない袋小路で立ち尽くしている現代人だ。自分が世の中からどう見られているかばかり腐心して、内面は欲求不満とストレスが渦巻いている。孤独で、崩壊寸前の南海子を、橋本さんはおなじみの“愛人キャラ”を返上する演技で熱演。新たな一面を見せた。

橋本マナミ
橋本マナミ(はしもと・まなみ)
1984年8月8日生まれ。山形県出身。97年、第7回全日本国民的美少女コンテストで演技部門賞を受賞し芸能界入り。女優・グラビアアイドルとして活動を開始する。12年、芸名を橋本マナミに改名。「愛人にしたい女No.1」「国民の愛人」など独特のキャッチフレーズでバラエティー番組を中心にブレイク。女優としても大河ドラマ『真田丸』や『女囚セブン』などに出演

自らも耳目を集める芸能人として、いち30代の女性として、閉塞感を覚える機会はあるはず。そんな生きづらさと橋本さんはどう向き合っているのか。ストレス過多な現代だからこそ見直したい、風通しの良い生き方について話を聞いた。

本当の私は“愛人キャラ”とは別人。コンプレックスだらけなんです

バラエティー番組では、セクシーキャラで人気を集める橋本さん。そんな色眼鏡をかけてこの映画を観たら、きっとあなたも驚かされるはずだ。スクリーンの中にいるのは、生気のない目で虚空を眺める主婦・南海子。“愛人キャラ”とは正反対の平凡な主婦を、橋本さんはリアリティーたっぷりに演じている。

「試写をご覧になった方からよく『イメージと違う』と言われるんですけど、どちらかと言うとバラエティーでの姿よりむしろ南海子の方が素の私に近いと思う。私も南海子同様、コンプレックスだらけの人間なんです。自分に自信なんてないし、むしろ“愛人キャラ”の方がよっぽど役づくりがいるくらいです(笑)」

そうおかしそうに微笑む。メディアを通じて見る橋本さんは、妖艶で小悪魔的なイメージが強いだけに、その色っぽい唇から飛び出した「コンプレックス」という言葉は、何だか意外だ。

橋本マナミ

「例えば、昔から人と関わるのがすごく苦手。もっと自分自身をさらけ出したいと思っているのに、なかなか上手くいかなくて、つい殻にこもってしまう。自己表現が下手だからこそ、南海子のように思いっ切り感情を爆発させる役はやりがいがありますね。感情を剥き出しにする役をもらえると、日頃押さえ込んでしまいがちな本当の自分とのバランスが取れるような感覚があるんです。女優の仕事をやりたいと思ったのも、そんなコンプレックスだらけの自分を乗り越えたいと思ったからなんですよ」

人の視線が気になるのは、自分を過大評価しているから

『光』というタイトルとは裏腹に、人間の闇を浮き彫りにした本作。平凡な日常を生きていたはずの南海子もどこにも解き放てない生きづらさを抱え、やがて欲望の海に溺れていく。この形容しがたい生きづらさは、もはや現代社会の病と言ってもいいかもしれない。

橋本マナミ

「今の世の中って、どんどん自由がなくなっているというか。何かに押し潰されて生きているような閉塞感がありますよね。例えば、ちょっとした発言一つとってもそう。私も“愛人キャラ”ということで、『別に不倫したっていいじゃないですか、好きになったんだから』って言ったら周囲の人から引かれちゃって……(笑)。

今の世の中、人と違うことを言うとすぐに叩かれる。おかげで皆、いいことしか言わないし、同じことしか言わない。でもそれって全然面白くないですよね。本音が言えない世の中なんてつまらない。そんな世の中じゃ誰も伸び伸びと生きられませんから」

橋本さんも時にバッシングの標的にされることがあると言う。だが、「批判してくるのは、全体の3%なんですって」とあくまで冷静だ。ノイジーマイノリティーに左右されるのではなく、自分は自分。人目を気にせず自分らしく振る舞うことの大切さを橋本さんは主張する。

橋本マナミ

「プライベートでも人目は全然気にしないです。おかげさまで以前に比べると、たくさんの人に知ってもらえるようになりましたが、生活は変えず、至って普通を心掛けています。気にし過ぎるとどこにも行けなくなるから、電車も乗るし、行きたいお店があれば迷わず行く。人目が気になるのは、自分を過大評価している証拠。誰かが自分のことを気にしてるって思うから、不安になるだけ。誰も見てない、気にしてないって思ったら、不思議と周囲にどう見られるかなんて気にならなくなるものです」

仕事をしていれば立場や責任もついて回る。職場で、ありのままの自分でいられる人なんてごく少数だろう。皆、大なり小なり我慢をしながら毎日を生きている。だからこそ、時に“ガス抜き”も重要だ。

「どんなに楽しくても、仕事ばかりの毎日だとストレスはたまる。そんなときは、私の場合、発散タイムをつくります。大声で歌ったり、大好きなショートケーキをワンホール丸ごと食べたり(笑)! 毎日頑張っているんですから、たまにはご褒美を与えてあげてもいいじゃないですか。そのときは絶対に欲望にストッパーはかけない。とことん自分を甘やかします。そうやって蓄積されていたものを一度解き放つと、また頑張れるようになる。時には自分の欲望に素直になることが、ストレスの多い世の中を生き抜くためには大切だと思いますよ」

与えられた場所で咲くためには、時には“割り切る”ことも大事

ここ数年、“愛人キャラ”でブレイク中の橋本さん。だが、実は芸能生活は今年で20周年に及ぶ。20代の頃は、2時間ドラマの死体役など、長い長い下積み生活を送っていた。

橋本マナミ

「普段の私は“愛人キャラ”とは別人。生活は質素だし、ごく普通だと思う。時々、セクシーな面ばかりを求められることに飽きてしまう部分も正直に言ってあります」

本当はもっと別の仕事がしたいのに……。本当の自分はこんなじゃないのに……。そんな生きづらさに悩む女性はきっと少なくない。だけど、橋本さんの答えはいたってシンプルだ。

「それが今の私の求められるキャラクターなら100%で応えたい。でも、うまくいかないことも多いから、仕事の後はたいてい反省の嵐です(笑)。ただ、周囲の人から求められることを全力でやっていれば、どこかでちゃんと誰かが見てくれていて、いつかは夢が叶うはず。だから、時には『仕事は仕事』で割り切ることも大切です」

そうやって求められる役割に精一杯応え続けた先に掴んだのが、今回の映画出演だ。大きな仕事を一つ終え、橋本さんはまっすぐ前を見つめている。

「これからやっていきたいお仕事は、やっぱりお芝居。舞台がすごく好きなので、来年以降、舞台に挑戦できたらなって思いますし、こういうメッセージ性の強い映画にもまた挑戦したいですね。30代になると、外見をどれだけ綺麗にしても内面が豊かじゃないと魅力的な女性にはなれない。だから、毎日勉強したり新聞を読んだり、こまめな努力も欠かしません。そうやって自分に水をやり、肥料を蒔いて、私だけの“年輪”を豊かに育てていければと思います」

橋本マナミ

人目は気しない。欲望にストッパーをかけない。そして、時にはスパッと割り切ってみる。それが、息のつまりそうなこの世の中で、思いっ切り空気を吸いこんで、のびのび過ごす風通しいい生き方の3箇条だ。

取材・文/横川良明 栗原千明(編集部) 撮影/赤松洋太


映画情報
『光』2017年11月25日(土)公開

監督:大森立嗣
原作:三浦しをん『光』(集英社)
出演:井浦新 瑛太 長谷川京子 橋本マナミ 南果歩 平田満
配給:ファントム・フィルム
http://hi-ka-ri.com/

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