vol. 345

2017.08.01

【小栗旬×菅田将暉】トップ俳優2人が貫く「むき出しのライバル心」と「妥協なき姿勢」

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一流の仕事人には、譲れないこだわりがある!
プロフェッショナルのTheory

今をときめく彼・彼女たちの仕事は、 なぜこんなにも私たちの胸を打つんだろう――。この連載では、各界のプロとして活躍する著名人にフォーカス。 多くの人の心を掴み、時代を動かす“一流の仕事”は、どんなこだわりによって生まれているのかに迫ります。

俳優・小栗旬さんと菅田将暉さん。共に世代を代表するトップ俳優の2人が、映画『銀魂』で共演を果たした。普段は適当だけど、いざというときは頼りになる銀時と、そんな銀時に的確なツッコミを入れつつ慕う新八。その構図が、兄弟のようなトークを繰り広げる小栗さんと菅田さんの姿に重なる。数々の映画・ドラマ・舞台で活躍する実力派2人の“仕事にかけるこだわり”に耳を傾けてみよう。

小栗旬 菅田将暉
写真右:小栗 旬(おぐり・しゅん)
1982年12月26日生まれ。東京都出身。98年、ドラマ『GTO』で連続ドラマレギュラーデビュー。03年、蜷川幸雄演出の舞台『ハムレット』に初出演し、以降は蜷川作品の常連となる。『花より男子』、『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』で一気にブレイク。以降、トップ俳優として数々の作品に出演。主な代表作に『岳 -ガク-』、『宇宙兄弟』、『ルパン三世』、『信長協奏曲』、『ミュージアム』などがある。今年は『ヤングフランケンシュタイン』でミュージカルにも初挑戦する

写真左:菅田将暉(すだ・まさき)
1993年2月21日生まれ。大阪府出身。09年、『仮面ライダーW』で、デビューを飾る。テレビドラマ、映画と次々に出演をし、13年、主演作『共喰い』で日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。翌年、『そこのみにて光輝く』では、日本映画批評家大賞助演男優賞など、国内の映画賞を数々受賞。17年は『キセキ -あの日のソビト-』、『帝一の國』、寺山修司原作『あゝ、荒野』、『火花』など主演映画が続々公開。『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』で初声優を務める

――原作は単行本発行部数5100万超の人気コミック。その実写化ということで大きな注目が集まっていますが、完成されたフィルムをご覧になって、今、どんな想いがありますか。

小栗:ものすごいお金を掛けて、皆が本気でバカをやる。これまでの日本の映画界にはなかったものを作れたことが良かったかな、と。

菅田:役者にとってもまさに夢のような現場でしたよね(笑)。大事件だと思います。

――個性的なキャラクターが大勢登場しますが、お二人は銀時と新八をどんな想いで演じましたか?

小栗旬

小栗:漫画原作の映画に出る場合、僕は役づくりの上でオリジナリティーを出そうと思うことはほぼなくて。なるべく自分が原作で読んだイメージにキャラクターを近づけていこうと考えながら演じるようにしています。銀さんで言えば、ユルくて普段はちょっとダサいんだけど、本気を出したらカッコいいっていう、男の子なら皆が好きなキャラクター。僕自身も、子どもの頃からそういうヒーロー像に憧れていたので、そのイメージに忠実につくっていったという感じです。

菅田将暉

菅田:僕は漫画原作の実写化に携わるときに毎回思うのは、「実写だからやるべきことが絶対ある」ということ。当たり前ですけど、僕らはアニメーションじゃない。生身の人間が演じるからこそ面白いことってあると思うんですね。例えば今回なら、冒頭のカブト狩りのシーン。そこで近藤勲役の中村勘九郎さんが本当に全身に蜂蜜を塗りたくって立っているんですよ。それもちゃんと片足で立とうとされていて。その姿が美しくも面白い。

小栗:美しかったね。そのシーンが撮影初日だったんですよ。もうその時点で、この映画は勝てるなと思いました(笑)。

小栗旬 菅田将暉

「キラキラできるうちに、しておいた方がいいよ」

――小栗さんと菅田さんは以前もドラマなどで共演経験はありますが、それぞれお互いにどんな印象をお持ちだったのでしょうか。

小栗:初めて会ったのは、まだ将暉がちょっとアイドル売りをしていてた時期なんですよ。『スダマサキッス』っていう写真集を出したばかりの頃でしたね(笑)。

菅田:泡風呂に入って、泡をフーッて飛ばしたり。そんなことをやってました(照)。

小栗:それから、『獣医ドリトル』というドラマで共演したんですけど、そのときはあまり話をする機会はなくて。将暉の兄役の笠原(秀幸)から「あいつはすごく面白い関西人だ」って話だけは聞いていたので、きっと今、いろんなことに迷っているんだろうなって。だって、『スダマサキッス』ですよ(笑)!? 本人の心と今向かっているところが、ちょっと違う場所にあるんだろうなあって思ったのが、最初の印象ですね。

菅田:もう7年前くらいのことですね。その時はこれからどんなキャリアを築いていくべきなのか、すごく悩んでいました。そんな時に小栗さんが僕にぽろっと「キラキラできるうちに、しておいた方がいいよ」って言ってくれたんですよ。何てことない言葉のようですが、それがずっと心に残っていて。本当その通りだなって、迷いみたいなものが吹っ切れました。そこから、「自分がやりたいと思う仕事」も、「周囲の人から求められる仕事」も、あれこれ悩まずとにかく頑張ってみようと決意できたのを覚えています。

小栗:それからしばらくして、将暉が『共喰い』という映画に主演することが決まって。ちょうど撮影に入る前日に、将暉から連絡をもらったので、「うちに遊びに来なよ」って声を掛けたんですよ。

菅田:自分の中でその作品に掛ける気持ちが大きくて、居てもたってもいられなかったんです。誰かにこの気持ちを話したいと思って、パッと頭に浮かんだのが小栗さんでした。

小栗旬

小栗:「明日からやる作品で自分の人生が変わりそうな気がする」って話をしている将暉の気迫はまさに本物の役者でしたね。将暉はここから本当に変わりそうだなあなんて思っていたら、あれよあれよという間に“天才・菅田将暉”になってた。これは余談なんですけど、将暉が「俺、戦ってきます」って宣言してうちから帰ろうとしたので玄関まで見送ってあげたら、その日着ていたTシャツの背中に「THE END」ってプリントされてて……。おいおい、それはダメだろ、と(笑)。

菅田:ははは! 未だに言われますね、あのTシャツはダメだって。

小栗:きっとあの日いろんなものが終わって、新しいものが始まっていったんだろうね(笑)。

「年齢もキャリアも関係ない。誰かのいい仕事を見たら、本気で悔しがる」

――今回、一緒に仕事をしてみて改めて感じたお互いのすごいところを教えてください。

小栗:将暉は繊細な感覚をしているし、頭が良いんですよ。現場でも、人のことをよく見ているのが分かる。この瞬間に何をすれば面白いのか、自分に何が求められているのかを感じ取れる人だから、いろいろな人に面白がられるんだろうなと思います。

菅田将暉

菅田:小栗さんのすごいところは、常に悔しがれるところ。会うたびに最近見た映画とかドラマとか舞台の話をされるんですけど、毎回本気で悔しがっているんです。年齢とかキャリアを重ねると、ある程度できるようになったしいいや、みたいな感じでクールに構えてしまう人も多いと思うんですよね。人と張り合うのも恥ずかしいかなって。でも、小栗さんは「アイツのあの演技が良かったんだよ。何で俺にはできないんだ?」って素直に悔しがれたり、「俺はこういう役がやってみたい。どうすればオファーがくるんだろう」って貪欲に進もうとしている。そういう姿が、後輩の僕の目から見てもカッコいいし、指針になりますね。それが出会った頃から今も変わらないところが小栗旬だなって。

小栗:「悔しがる」のは、確かにそうかも。今も『リバース』っていうドラマの藤原竜也くんの演技に引き込まれてしまって、何で彼の仕事はこんなに良いんだろうと思ったり、自分でこっそり「俺がやったらどうなるかな」なんて練習してみたりして。そういう気持ちはいつまで経っても途切れないですね。

菅田:家でこそこそ練習してたら家族に怪しまれませんか?

小栗:「あなたがやると何だかわざとらしい」とか奥さんにダメ出しされたりするよ(笑)

菅田:わ、恥ずかしい!

――小栗さんは良い意味で「ライバル意識」を大切にされているんですね。そういう意味では、菅田さんのような勢いのある若手の存在は気になるのでは?

小栗:そうですね。「俳優生命に大きな傷を与えないくらいの怪我」をすればいいのにって思います。

菅田:えー(笑)!!!

小栗:でも、本当にそれで仕事ができなくなるのは嫌なので、「数カ月穴を開ける」くらいの、ちょっと勢いを失速させるくらいの怪我をすればいいのになって。

菅田:うわ、小さっ(笑)!

小栗:なんてね~。ふふ。

菅田:まあ、こんなこと言っていますけど、僕は小栗さんの仕事を見ていつも尊敬しています。この間までやっていた『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』のアクションなんてテレビでやれるスケールを超えている。僕のもとにも友人から「小栗旬のアクションすごいね」っていうメールが何通も来たくらいです。

小栗:おっ、ありがとう(照)。

何のための仕事か。どこを目指すか。「意義とゴール」を共有することがチームで仕事を成功させるための絶対ルール

――映画やドラマは大勢の人が関わってできていきます。一般の会社員の仕事もそうですが、お二人がチームでいい仕事をするために特に意識していることは何でしょうか?

小栗:僕が貫いているのは、「誰かがやるだろう」とか「誰かにやってもらおう」と思わず、自分ができることは最後まで絶対に妥協しないことですね。いろいろな想いを持った人間が一緒に仕事をすると、意見が衝突することがよくあります。そういう時になるべく体力を使わないで済むように、仕事の経験を重ねれば重ねるほど、だんだん「まあいいか」と妥協するクセがついていくものなんですよね。でも、そんなスタンスで臨んだ仕事でいい結果が出るわけがない。そう気づいてからは、作品づくりの最初の打ち合わせから必ず同席させてもらって、今回の仕事ではどこまでやるのか、チームで達成したい目標は何なのかなど、その仕事の「意義とゴール」を最初の段階から皆で共有するようにしました。目指すところが明確になれば、全員が妥協しないで仕事ができるようになるんですよね。それに、本来俳優がそこまでやるべきなのかは分かりませんが、作品作りの根幹からちゃんと関わって意見も出していくことで、その作品に対する僕個人としての責任感も強くなっていく気がします。

菅田:さっき小栗さんが少し触れてくれましたが、僕が大切にしているのは「周囲の人から求められること」を全うすること。チームの中で足りていないものを探して、そこを自分で補おうとすることかなと思います。僕は俳優なので、基本的にはその監督が思い描くようないい演技をすることが一番に求められます。だから、最高のコンディションでカメラの前に立つことができるように、いつも準備は欠かさないですね。

今回の作品で言えば眼鏡。眼鏡が本体と言われる新八になりきるために、ビジュアル面は監督やスタッフさんとかなりこだわって追求しました。そうやって役の上で必要なものをしっかり事前準備することで、胸を張ってカメラの前に立てる。自己満足かもしれませんが、自分が楽しみながら仕事ができる状態を自らつくり出していくことが、結果的に皆さんに見ていただいて楽しめるモノづくりにつながっているのかなと思います。

菅田将暉 小栗旬

キャリアを重ねても錆びつかないむきだしの悔しさを胸に、俳優という領域を超え、強い当事者意識をもって意見を発信する小栗さん。冷静沈着な観察力と内に秘めた闘志を武器に、徹底した準備で役をつくりこむ菅田さん。

一流の仕事に必要なキーワードは、俳優業もビジネスもそれほど変わらないのかもしれない。納得できるパフォーマンスを生むために、どれだけ主体的になれたか。どれだけ準備ができたか。その妥協なき姿勢が、一流の仕事をつくっていく。

取材・文/横川良明 撮影/竹井俊晴

映画『銀魂』2017年7月14日(金)全国ロードショー!
■脚本/監督:福田雄一
■原作:「銀魂」空知英秋(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
■出演:小栗旬 菅田将暉 橋本環奈 / 柳樂優弥 新井浩文 吉沢亮 早見あかり ムロツヨシ 長澤まさみ 岡田将生 佐藤二朗 菜々緒 安田顕 中村勘九郎 堂本剛
■製作:「銀魂」製作委員会
■制作プロダクション:プラスディー
■配給:ワーナー・ブラザース映画
©空知英秋/集英社 ©2017 映画「銀魂」製作委員会
■公式サイト:gintama-film.com

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