vol. 174

2016.11.01

小松菜奈×菅田将暉、今最もアツイ20代の仕事論――「かっこつけずに全力でぶつかっていく。そこから自分なりのやり方を見つけていけばいい」

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一流の仕事人には、譲れないこだわりがある!
プロフェッショナルのTheory

今をときめく彼・彼女たちの仕事は、 なぜこんなにも私たちの胸を打つんだろう――。この連載では、各界のプロとして活躍する著名人にフォーカス。 多くの人の心を掴み、時代を動かす“一流の仕事”は、どんなこだわりによって生まれているのかに迫ります。

菅田将暉 & 小松菜奈
菅田 将暉(すだ・まさき)
1993年2月21日生まれ。大阪府出身。09年、『仮面ライダーW』(EX)で、デビューを飾る。テレビドラマ、映画と次々に出演をし、13年、主演作『共喰い』で日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。翌年、『そこのみにて光輝く』では、日本映画批評家大賞助演男優賞など、国内の映画賞を数々受賞。2016年は『ピンクとグレー』、『暗殺教室-卒業編-』、『ディストラクション・ベイビーズ』、『セトウツミ』、『何者』、『デスノート Light up the NEW world』など本作を含めて9本の映画に出演。2017年は、『キセキ-あの日のソビト-』、『あゝ、荒野』、『銀魂』が公開待機中

小松 菜奈(こまつ・なな)
1996年2月16日生まれ。東京都出身。08年よりモデルとして雑誌を中心に活動するとともに、TV、CMなど数多く出演。中島哲也監督に見出されて、14年、同監督の『渇き。』でスクリーンデビューを飾り、日本アカデミー賞・新人俳優賞のほか、数多くの賞を受賞し注目を集める。2016年は『黒崎くんの言いなりになんてならない』、『ディストラクション・ベイビーズ』、『ヒーローマニア ‐生活‐』に出演。『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』、『沈黙ーサイレンスー』、『ジョジョの奇妙な冒険』が公開予定

まだ共に20代前半。それでいてシャッターを切るごとに見せる表情は、足がすくむほどセクシーだったり、頬がゆるむほどキュートだったり。その変幻自在ぶりは、「表現者」という言葉がよく似合う。

 小松菜奈
菅田将暉

話題作への出演が相次ぐ小松菜奈さんと菅田将暉さんの2人が堂々主演を飾るのが、2016年11月5日(土)公開予定の映画『溺れるナイフ』だ。原作はジョージ朝倉の同名コミック。

10代の恋と制御不能の衝動を描いた本作で、小松さんは美少女モデルの夏芽、菅田さんは唯一無二の全能感を持った少年・コウに扮した。一生に一度のはち切れそうな恋を、まるで身を焦がしながら落下する流星のように鮮烈に演じ切った2人。

20代を代表する実力派は、今、どのようなスタンスで仕事に臨んでいるのだろうか。

「過酷」という一言では足りないくらいの仕事
“身を削って臨む”覚悟が必要だった

――お二人の共演は今年5月に公開された映画『ディストラクション・ベイビーズ』以来2度目。立て続けの共演となりましたが、いかがでしたか?

菅田将暉2

菅田さん(以下、菅田):前回は拳で殴り合う役で、今回は心で殴り合うような役(笑)。一回殴り合っているから、入りやすかったっていうのはありました。

小松さん(以下、小松):今回は本当に周りのみなさんに支えられた現場でした。というよりも、支えてもらわなければ生きていけない状態でした(笑)。体力的にも精神的にも、「過酷」という一言では足りないくらい、本当に大変な現場だったので。私、今回はみんなより早めに入って撮影をしていたんですよ。でも、思うようにできないことばかりが続いて、日に日に顔が死んでいって(笑)。

菅田:後から僕が合流して、ホテルで小松さんと会ったときに「どんな感じ?」って聞いたら、死んだような顔して「とりあえず、ご飯行きましょう……」って誘われて(笑)。あの瞬間に予感しました、今回の仕事は、それだけ“身を削る覚悟”で臨まなければいけないんだってことを。

小松菜奈2

小松:菅田さんには本当に助けられました。菅田さんって原作のコウちゃんそのものじゃないですか。見た目とか視線とか。だから、原作の世界に入り込みやすかった。

菅田:え、僕、あんな感じ?(笑)

小松:何て言うんだろう、つい追いかけたくなる雰囲気というか。菅田さんがコウちゃんとして現場にいてくれたおかげで、私はただただ必死にコウちゃんを追いかけることができました。

自分の信念を曲げないこと、ポリシーを貫くことの大切さを学んだ

――監督は、本作がメジャー映画デビューとなる山戸結希監督。山戸監督との仕事は、お二人にどんな刺激や発見をもたらしたのでしょうか。

小松:山戸監督は、おっとりしているように見えるんですけど、実はすごく芯が強くて、「私はこれを撮りたいんだ」っていうこだわりを絶対に曲げない。働く女性の一人として、自分なりのポリシーを持って仕事をしていらっしゃる方で、本当に素敵だなあと思いました。

菅田:まさに「監督」っていう感じの方だよね。

小松菜奈×菅田将暉2

小松:撮影でも、その時その時で感じたことや思ったことを大切にされるんです。だから、朝、現場に行ったら、いきなり台詞が増えていたということが何度もありました。私はすぐに台詞を覚えられるタイプではないので、そのたびにテンパったりして。でも、一つ一つの仕事に監督の「芯」が感じられるから、一緒にそのこだわりを形にしたいって思えて。中心に立って仕事をする人にとって、「信念」はすごく大切なものなんだと感じました。

菅田:僕が試写ですごくいいなと思ったのが、夏芽と大友(重岡大毅)がバッティングセンターにいるシーン。コウとの場面とは違って、夏芽もすごく楽しそうだったし。「俺も呼んでよ」ってなったから(笑)。

小松:その場面、実は大友が途中で台詞を噛んでるんですよ。でも、監督はそのまま使っていて、逆にそれがすごく自然というか。だって、好きな人の前で噛んだりドモったりするのって普通じゃないですか。実際、噛んでる方が大友らしいし、可愛いなって思えますよね。

怒られて、怒られて、怒られて……
そういう期間があったから“真ん中”に立つ責任が持てた

菅田将暉3

菅田:今回の仕事を通じて、小松さんはめちゃくちゃいい経験をしてるなと思ったんです。『溺れるナイフ』撮影当時、小松さんは19歳。僕も19のときに『共喰い』っていう映画をやって。だから、現場で死にそうになってる小松さんが、当時の自分に重なったというか……。あの時の自分なんてもっとひどかったよ。毎日、どんなに頑張って仕事した気になっていても、いっつも怒られっぱなし(笑)。その時の監督が、青山真治さんというすごく尊敬している監督なんですけど。

とにかく、監督とか、スタッフとか、みんなにこてんぱんに怒られて、数え切れないほど悔しい思いもした。でも、あれがあったから、俳優部として真ん中に立つということや、自分がやるべき仕事がどういうものなのかということを、身をもって学ばせてもらえたと思っています。そういう時期を、もがきながらでも自分なりに乗り越えることが必要なんだと思うんです。だから今回の現場では、そういう転機にいる小松さんを支えられたらと考えていました。彼女がふらついたときに、手を貸してあげられる場所にいられればなと。

菅田将暉3

小松:すごく心強かったです。撮影期間はたった17日間だけだったんですけど、あんなにも全力を尽くして、お互い燃え尽き合うことのできるような痺れる現場は『溺れるナイフ』ぐらいかも……。きっとこれからいろんな作品に出会っても、この仕事は忘れられない。頭の中に、ずっとあの現場が焼きついているような気がします。

「不安」があるままでは最高のパフォーマンスができない
できる限りの準備をして、心配な要素を無くしておく

――まさに死闘と呼べる現場をくぐり抜けたてきたお二人だからこそ語れる、お互いの演技者としてのこだわりを教えてください。

菅田将暉3

菅田:撮影って大きく分けると、まずドライ(役者の演技を確認しながらカメラワークなどを決定すること)があって、テストがあって、本番があってっていう3工程があるんですけど、小松さんはドライから全力で芝居をするんです。ドライであんなに泣いている女優さんを久しぶりに見ました。ただでさえ夏芽って終始泣いているような役。それを最初からあんなトップギアで、しかも17日間やり続けるのかよってビックリしました。小1で大学受験の勉強を始めるようなものですよ(笑)。

小松:分かりやすい(笑)。

菅田:それが狙いなのか、自分でも抑えられない何かがあるのか分からないですけど、どっちにせよタフだなって。かっこつけずに、何にでも本気でぶつかっていく姿が、すごく輝いて見えました。どんなに現場が大変でも、小松さんが先陣切って滝に打たれようとしているのを見て、周りのスタッフさんも「この人と一緒に頑張ろう」と思ってくれていたんじゃないかな。

小松菜奈×菅田将暉4

小松:不器用なんですよね。急に本番で感情を出せって言われても、それまでに溜めておかないとできなくて。感情がピークに達するまでに時間がかかっちゃうんですよ。だから最初からつくっていかないと辿り着けない。でも、ドライで出しすぎて、逆に本番で上手くできなくて怒られることもあるし。もっと自分の感情をコントロールできるようになりたいんですけど、なかなか難しいですね。その点、菅田さんは柔軟性があって本当にすごい。キャラクターによっていつも髪型も服装も全然違うし、ご本人のことを知っている私でさえ時々本当の菅田さんが分からなくなります。

菅田:お。もっと褒めて(笑)。

小松菜奈×菅田将暉5

小松:現場にいてもいい意味で自由なんです。休憩中は持ってきたギターを弾いたりして。自分の時間を大切にしているというか、自分で自分をリラックスさせる方法をちゃんと実践しているんだなあって。どんなに無理難題を要求されても、すんなりやっているように見せるんですよね。そういう現場の佇まいは、私にはないものだし、尊敬します。

菅田:僕の場合、それはこだわりというより、ただの自己満足なんです。いかに自分が気持ち良く楽しくカメラの前に立てるかっていうことが全て。逆に言うと、常に不安なんです。よく役づくりで痩せたとか話題にしていただくことがありますけど、結局はそれも自分がそうしないと安心できないからやっているだけで。不安があるからこそ、いろんな方法を使って不安を感じない状態まで自分を持っていってるんです。それが、今の自分なりの仕事の臨み方ですね。

小松菜奈6
菅田将暉6

その瞬間その瞬間で持てる力を出し尽くす小松さんと、持ち前のセルフコントロール術でストレスフリーな環境をつくり出す菅田さん。

キャリアの異なる2人だからこそ、仕事への向き合い方も好対照。だが、それはビジネスの世界でも同じかもしれない。

まだキャリアの浅いうちは、たとえ人目にふれる場面ではないところでもベストを尽くすこと。それが自分の経験になり、周囲の評価へとつながっていく。そうしてステージをのぼっていくうちに、自分なりの最適なコンディショニング法を身につけていけばいい。

若き2人のプロフェッショナルが示すのは、20代のパフォーマンス進化論だ。


【映画情報】
タイトル:『溺れるナイフ』

公開情報:2016年11月5日(土)TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショー
©ジョージ朝倉/講談社 ©2016「溺れるナイフ」製作委員会
公式サイト:http://gaga.ne.jp/oboreruknife/

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取材・文/横川良明 撮影/竹井俊晴


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